弁論準備手続の条文と実態

弁論準備手続の条文は、予備試験の短答式試験でよく出るし、口述式試験でも聞かれる。

実務で非常によく使われる手続だからだ。
でも、条文や基本書で読み取るイメージと実務のイメージが若干違うので、今日は弁論準備手続きをテーマにブログを書こうと思う。
実務でのイメージは、予備試験や司法試験にもきっと役立つ。

1、弁論準備手続の目的
(1)条文

(弁論準備手続の開始)
第百六十八条 裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。

このように、争点整理と証拠整理が目的となっている。これは間違ってないし、条文知識として覚えておきたいところ。

(2)実務での目的
早い話が争点整理と、書証の取調。
弁論準備手続で書証の取調ができるのは条文上明らか。

第百七十条 裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる。
2 裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判及び文書(第二百三十一条に規定する物件を含む。)の証拠調べをすることができる。

2、典型的な民事訴訟の流れ
 実は、典型的な民事訴訟は、ほとんど、弁論準備手続きで終わる。見ていこう。

①第一回期日
 訴状と答弁書が陳述される。もっとも答弁書は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。被告の主張はおって」とうものが多いが。
 裁判官にもよるが、この段階で弁論準備手続きに付される場合も多い。

②弁論準備手続
 ここで、当事者が準備書面を出し合って、争点の確認をする。
 原告被告双方細かい主張もするが、事件の主戦場を決める。
 例えば、売買契約に基づく代金請求事件で、主要な争点は「詐欺があったか否か」ですね、といった具合だ。
 この段階で、書証はあらかた取り調べる。売買契約書等の主要な書証はもちろんのこと、間接事実に関わる書証も
 できる限り取り調べられる。

 主張と書証を固めて証人尋問に臨むためだ。
 当事者の片方が出頭していれば電話会議も可能だ(169条3項)。

③証人尋問
 事件の争点が確定され、書証があらかた取り調べられると、当事者尋問と証人尋問が集中して行われる。
 これが集中証拠調べだ。

 集中証拠調べは、証拠調べを集中するのでは決してない。人証の取調を集中して行うだけだ。
 条文にもはっきりかいてある。

(集中証拠調べ)
第百八十二条 証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない。

 集中証拠調べという名前は、正直不適切だと思う。集中証人尋問の方が実態にあってると思う。

③証人尋問後

 和解の話がたいていなされる。
 和解ができないと、原告被告双方が最終準備書面(各当事者が最後に出す準備書面、総力の結集)を出して、判決ということになる。

 なお、なぜ証人尋問が集中して行われるかだが、裁判官は転勤が多い。証人尋問を体感した裁判官が判決を出したほうがよいというところにあると思う。

 この実務の流れを知っていると、解ける短答試験もあるので、ぜひ知っておいていただきたい。

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やっぱり民訴は眠素だった

民訴(民事訴訟法)は眠素と、よく言われます。

民事訴訟法は、最初はとっつきにくいし、抽象的概念が多く、私も最初学習したときは本当に眠かったです。
ある程度勉強が進むと、面白い点もあるんですけどね。

先日、池袋本校で民事訴訟法の入門講座が終わりました。

普段は、非常に熱心な受講生の方も、民訴になると眠そうな顔。

民訴は眠素だと改めて実感しました。

みなさんの目が覚めるような民訴の講義を研究しなければと改めて思いました。

一方、民事訴訟法は、司法試験においては、最も難しい問題が出る科目です。
未知の論点が出ます。

ですので、民訴に限っては、通説判例の他に、反対説を学習しておくことが有効です。
(あとは憲法くらいかな。民訴・憲法以外は通説判例以外を押さえる必要はないです)。

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境界確定訴訟の基礎知識チェック

今日は、境界確定訴訟の基礎知識チェック。

処分権主義や当事者適格、弁論主義とも絡み、直前期にはチェックしておきたいところ。

2010年民事系第56問を題材に解説していく。

理由を付けて正誤を判断してほしい。
(論点を論文で書くことをイメージして理由づけしてほしい)。

リラックスして解いてみてほしい。

〔第56問〕(配点:2)
筆界(境界)確定の訴えに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤って
いるものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№68])

ア.甲地の所有者Xが甲地に隣接する乙地の所有者Yに対し,甲地と乙地の筆界(境界)確定の
訴えを提起した場合に,Yが甲地のうち筆界の全部に接する部分を時効取得したときには,筆
界の両側の土地がYの所有に帰することになるから,Xは原告適格を喪失する。

イ.X所有の甲地とY1及びY2が共有する乙地が隣接する場合に,Xが甲地と乙地の筆界(境
界)確定の訴えを提起するときには,必ず共有者Y1及びY2の両者を被告としなければなら
ない。

ウ.所有権に基づく土地明渡請求訴訟の係属中に,原告が被告に対し,原告の所有地とそれに隣
接する被告の所有地との筆界(境界)確定を求めて追加的に提起した訴えは,土地明渡請求訴
訟に関する中間確認の訴えには当たらない。

エ.筆界(境界)確定の訴えの控訴審においては,不利益変更禁止の原則の適用はない。

オ.筆界(境界)確定の訴えにおいて,両当事者が隣接する土地の間にある溝の中央線を筆界と
する旨を合意した場合には,裁判所は当該合意に従って筆界(境界)を定めなければならない。

1.アウ2.アオ3.イエ4.イオ5.ウエ


では解説。
アは当然×。
Xは原告適格を失わない。なぜなら、このように筆界の全部に接する部分を時効取得しても、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることには変わりはないから。

イは○。
このように土地の一方又は双方が共有の場合は、共有者全員の関与が必要な固有必要的共同訴訟となる。

ウは○。
中間確認の訴えは、本来の請求と新請求との間に、前提関係が存在することが必要である。
本件のように、前提関係が存在しない場合、中間確認の訴えとはならない。

中間確認の訴えは手薄だと思うが、原告が提起する場合は訴えの追加的変更の特別類型、被告が提起する場合は反訴の特別類型であることを忘れずに。

エは○。
境界確定訴訟は、形式的形成訴訟であり、処分権主義・弁論主義が妥当しない。
控訴審における不利益変更禁止原則は、処分権主義の表れであることも忘れずに。

オも×。処分権主義も妥当しないし、公法上の土地の境界は、所有権の範囲ではないので、そもそも当事者が処分できないからである。

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自白の基礎知識チェック

受験生の方は、お疲れだろうから、ちょっと違う点から民訴の勉強をしよう。

今はなくなった民訴の短答問題から、論文知識を確認する。

2012年の63問である。これの正誤を判断するのだが、必ず理由をつけて判断して欲しい
そしてその理由付けを口で言って欲しい。
理由付けがすらすら出てこない方は、自白の基礎知識を確認しよう。
まだ間に合う。

〔第63問〕(配点:2)
自白及びその撤回に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものは
幾つあるか。後記1から5までのうちから選びなさい。(解答欄は,[№72])

ア.当事者が証拠として提出した契約書について,相手方がその成立の真正を認める旨の陳述を
した場合には,裁判所は,証拠によっても当該契約書の成立の真正を否定することができない。
イ.口頭弁論の期日において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしなかった当事者は,
次回以降の期日において当該事実を争うことができない。
ウ.自白の撤回は,第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をした場合にもすることができる。
エ.自白の撤回は,時機に後れたものとして却下されることはない。
オ.自己に不利益な陳述をした当事者は,相手方がその陳述を援用する前においても,当該陳述
を撤回することができない。
1.1個2.2個3.3個4.4個5.5個

アは×である。自白の対象は主要事実であるところ、文書の成立の真正は主要事実ではない。

イも×である。当事者は、口頭弁論終結時まで争うことができるからである。

ウは○。自白の撤回が許される一場合である。
理由付けはきちんとできるようにすること(書けるようにしておくこと)。
例えば、自白が成立すると、禁反言原則により撤回が許されなくなる。しかし、刑事上罰すべき他人の行為により自白した場合には、帰責性がなく、禁反言原則を適用する基礎に欠ける。従って、自白の撤回が許される。
などど書くのである、

エは×である。自白の撤回も攻撃防御であるから、157条の適用がある。

オも×である。先行自白は、相手方が援用すれば自白として扱われる。とすれば、援用前には撤回は許される。

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行政法から民訴へ~新司時代の学習法

よく、民法・民訴を学習してから行政法をやったほうがいいよと言われる。

これはある意味理にかなっている。なぜなら、行政法の実体分野は民法の特別法だし、行政事件訴訟法は民事訴訟法の特別法だからだ。
そして、まだ行政法が目新しい科目だったころは、民訴の学習が進んでいる人が多かったからだ。

しかし、現在ではそうでないのではないか。

民法やってから行政法は今でも妥当する。

しかし、行政法やってから民訴をやったほうが、学習が深まるのではないかが最近の私の考えである。
(民訴→行政法の順序は崩さなくとも、行政法的発想を民訴学習に活かすという意味がより近い)。

たとえば、行政法の原告適格の問題。

法律上保護された利益説の論証を書いて、9条2項にしたがってあてはめをする。
論証にも点数はあるが、圧倒的にあてはめの方に点数が振られているのはもはや常識だろう。

では、民訴ではどうか。

たとえば、固有必要的共同訴訟になるか否か。
①原則として管理処分権が実体法上共同的に帰属するか否かで決するが、
②訴訟法的観点も加味する
という論証はみんなかける。理由つきで。

ただ、なぜか民訴になると、あてはめにみな力を入れないのだ
正確にいうと、あてはめに力を入れた学習をしないのだ。

よく考えてほしい、この問題も、規範よりあてはめのほうに点数が振られていると考えるのが合理的だ。

行政法ではあてはめ中心の学習をするのに、民訴ではなぜかしない
(しかも上記の2例は、同じ当事者適格の問題である。)。

これが、民訴苦手症候群の原因のひとつだと思っている。

解決法として、百選を読むときは、判例がどうあてはめをしているか、
特に原告適格関係だと、判例が、実体法をどう「仕組み解釈」しているか ←ここは言い過ぎかも
考えながら読んでほしい


判例学習のときの重点の置き方で、成果は変わってくるはずである

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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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