保証連帯と連帯保証と連帯債務の違い
久々のブログです。
今日は、よくわかっていなさそうな話で、講義等ではそこまで手が回らないところを解説したいと思います。
それは、保証連帯と連帯保証の違いです。
ついでに、連帯債務との違いも書きます。
1,保証連帯と連帯保証の違い
一言でいえば
・保証連帯=分別の利益がない
・連帯保証=分別の利益、検索・催告の抗弁権がない
ということです。
設例)XはYに100万円を貸し、AとBが保証人になった。弁済期が来ても、YはXに100万円を返さない。
(1)通常の保証の場合
Xは保証人AとBに請求するでしょう。
但し、Yに破産手続が開始している場合は別として、ABはXに対し、まずYに催告しろということができます(催告の抗弁、民法452条)。また、催告後であっても、ABは、Yに資力があり、かつ執行が容易であることを証明した場合は、XはまずYの財産に強制執行しなければなりません(検索の抗弁、民法453条)。
そして、ABに請求する場合でも、ABは100万円を頭数で割った、50万円ずつの保証債務しか負いません(分別の利益)。
分別の利益は、民法456条、427条が根拠です。
(2)保証連帯の場合
ABに催告の抗弁、検索の抗弁があることは(1)と同様です。ただ、XがABに請求する場合は、それぞれ100万円全額請求できます。ABに分別の利益がないからです。ABは保証について連帯責任を負っているので「保証連帯」といいます。
ただし、主債務者Yについて連帯責任を負うわけではありません。
民法465条1項の「各保証人が全額を弁済すべき旨の特約」とは、保証連帯の特約のことを言います(連帯保証も入ります)。
なお、分別の利益がないことの条文上の根拠は、連帯債務の民法436条です。ABは保証債務について「連帯債務」を負っていることになります。
(3)連帯保証の場合
イメージとしては、YABが連帯しているイメージです。
その帰結として、ABには催告の抗弁、検索の抗弁がありません(民法454条)。
また、分別の利益もありません。(2)と同様に民法436条が根拠となります。
2,連帯保証と連帯債務の違い
保証連帯は違いすぎるので、連帯保証と連帯債務の違いだけ書きます。
連帯保証は、あくまで保証人。連帯債務は債務者です。
様々な違いがあるのですが、事例を挙げましょう。
設例)XはYに100万円を貸し、Aが連帯保証人になった。
例えば、XがYに請求すると、付従性により連帯保証人Aにも請求の効果が生じます(時効の完成猶予効など)。
設例)XはYに100万円を貸し、Bが連帯債務者になった。
一方で、XがYに請求しても、Bには効果が生じません(連帯債務の相対効、民法441条)。
このように、連帯保証は、保証であるがゆえに付従性が働きます。
ほかにもあるのですが、今日はこのあたりにしておきましょう。

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今日は、よくわかっていなさそうな話で、講義等ではそこまで手が回らないところを解説したいと思います。
それは、保証連帯と連帯保証の違いです。
ついでに、連帯債務との違いも書きます。
1,保証連帯と連帯保証の違い
一言でいえば
・保証連帯=分別の利益がない
・連帯保証=分別の利益、検索・催告の抗弁権がない
ということです。
設例)XはYに100万円を貸し、AとBが保証人になった。弁済期が来ても、YはXに100万円を返さない。
(1)通常の保証の場合
Xは保証人AとBに請求するでしょう。
但し、Yに破産手続が開始している場合は別として、ABはXに対し、まずYに催告しろということができます(催告の抗弁、民法452条)。また、催告後であっても、ABは、Yに資力があり、かつ執行が容易であることを証明した場合は、XはまずYの財産に強制執行しなければなりません(検索の抗弁、民法453条)。
そして、ABに請求する場合でも、ABは100万円を頭数で割った、50万円ずつの保証債務しか負いません(分別の利益)。
分別の利益は、民法456条、427条が根拠です。
(2)保証連帯の場合
ABに催告の抗弁、検索の抗弁があることは(1)と同様です。ただ、XがABに請求する場合は、それぞれ100万円全額請求できます。ABに分別の利益がないからです。ABは保証について連帯責任を負っているので「保証連帯」といいます。
ただし、主債務者Yについて連帯責任を負うわけではありません。
民法465条1項の「各保証人が全額を弁済すべき旨の特約」とは、保証連帯の特約のことを言います(連帯保証も入ります)。
なお、分別の利益がないことの条文上の根拠は、連帯債務の民法436条です。ABは保証債務について「連帯債務」を負っていることになります。
(3)連帯保証の場合
イメージとしては、YABが連帯しているイメージです。
その帰結として、ABには催告の抗弁、検索の抗弁がありません(民法454条)。
また、分別の利益もありません。(2)と同様に民法436条が根拠となります。
2,連帯保証と連帯債務の違い
保証連帯は違いすぎるので、連帯保証と連帯債務の違いだけ書きます。
連帯保証は、あくまで保証人。連帯債務は債務者です。
様々な違いがあるのですが、事例を挙げましょう。
設例)XはYに100万円を貸し、Aが連帯保証人になった。
例えば、XがYに請求すると、付従性により連帯保証人Aにも請求の効果が生じます(時効の完成猶予効など)。
設例)XはYに100万円を貸し、Bが連帯債務者になった。
一方で、XがYに請求しても、Bには効果が生じません(連帯債務の相対効、民法441条)。
このように、連帯保証は、保証であるがゆえに付従性が働きます。
ほかにもあるのですが、今日はこのあたりにしておきましょう。

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