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資料で見る特別支配株主株式等売り渡し請求の実務

平成26年の会社法改正で、特別支配株主(総株主の議決権の10分の9以上を所有する株主)による株式等売渡請求が導入されました。

条文でいうと、179条から179条の10です。
論文で頻出かというとそうではないですが、出ない保証はないので、この機会に見ておきましょう。
司法試験では未だ出題がないですが、プランニング系の問題はいつか出題されると思っております。

設例)結婚式場を広く手掛けるNという会社の株式の大部分をNAという会社が買い受けました。おそらく100%子会社にするのを狙っているのでしょう。当然、NAという会社は、他の株主に対し、「株式を売ってよ」といいます。しかし、それに応じなかった株主もいるわけです。NAは総株主の議決権の10分の9以上を所有する株主なので、株式等売渡請求をするつもりです。

さて、どうなるでしょうか。

株主の側から考えてみましょう。少数株主には、突然こういった書類が届きます。

売り渡し請求のお知らせ

売り渡し請求のお知らせ2


スクイーズアウト(キャッシュアウト)は強制買取なので、少数株主の意図に関係なく、買取の請求ができます(179条1項)。

そして、対象会社の承認(179条の3第1項)を求めますが、この承認には株主総会決議が不要です。
ここが素晴らしい点ですね(少数株主からしたらとんでもない点ですね)。
取締役会設置会社では、取締役会決議は必要です(179条の3第3項)。

そして、少数株主に対し、対象会社は通知をする(179条の4第1項)のですが、
なんと、公告をもってかえることができるのです(179条の4第2項)。

だから、知らないうちに株式買取請求がなされていたということが起こり得ます。

その後、事前開示書面を対象会社は本店に備え置き(179条の5)、
特別支配株主は取得日に株式の全部を取得します(179条の9)。

対象会社は事後開示書面の備え置きもお忘れなく(179条の10)。

このようにして、武山の単元未満株1株は強制的に取得されたのでした。

他にスクイーズアウトを実施する方法としては、
「全部取得条項付株式」の活用
「株式交換方式」
があります。

ただ、株式交換方式は税務上の問題等もありあまり活用されていません。
司法試験の関係では、全部取得条項付株式の活用を押さえておけばよいでしょう。

当然、株主総会特別決議が要求されます。
この機会に、全部取得条項付株式の復習もしてみて下さい。

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会社法429条1項の論じ方

基本の確認なので、できる方は読む必要はない。

答練の答案を見ていると、気になるのが、会社法429条1項が出題されたときだ。

さすがに、要件はだいたいの人が書けている。

しかし、ダメな答案には二つのパターンがある。

一つ目は、あてはめが全然だめ。問題文中にたくさん事情があるのに全然拾えていない。
おそらく時間不足もあるのだろうが、あてはめをある程度厚くしないと合格はおぼつかない。

あてはめが苦手な方は、事案処理の練習をする(書かない問題があってもよい)。
時間不足の方は、答案を時間内に書ききる練習をする(実際に書く)。

二つ目のパターンは、条文から要件を導く理由付けがない人だ。

429条1項の要件に「会社に対する任務懈怠」「任務懈怠に対する悪意重過失」と書くのはよいが、その理由を書かない。
なぜ第三者への損害賠償なのに、第三者に対する任務懈怠でないのか。

理由付けのない答案は、法律の答案ではない

お分かりの方には釈迦に説法だが、

まず429条1項の趣旨から説き起こす。
株式会社が現代社会において重要な役割を果たしている。その影響は大きい。
そして、その業務執行が取締役に依存している。
だから、第三者を特に保護するために、取締役に法定責任を負わせた。

とすれば、(業務執行の依存に着目したのだから)会社に対する任務懈怠が要件になるし
(不法行為とは違う)法定責任なのだから、任務懈怠に対する悪意重過失となる。

このような理由付けを理解していない方は、まだまだ間に合うので、ぜひ理解して欲しい。

時間がない方は、私の講師オリジナル論証集解説講座 を取ってみるのも手ではある。


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会社法改正と来年の司法試験

もう話題も下火になりましたが、会社法が改正されました。

多重代表訴訟や、詐害的会社分割に対する法整備、仮装払込に関する改正等は、チェック必須でしょう。
これらは、論文で軽く(小問の一つとして)聞かれる可能性は十分あります

詐害的会社分割に関する法整備は、詐害行為取消権との関係など整理しておいて下さい

キャッシュアウトなど、なかなか出しにくいものもありますが、改正された制度はさらっておく必要があるでしょう。

書籍を読んでもいいんですし、講座をとってもいいと思います。

スピーディーにマスターしたいなら、私の
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はおすすめです。

なんと改正点を中心に、6時間でスピード解説していきます。
また、改正点に対応した、論文問題と短答問題つき(LECオリジナル)。
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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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