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刑法の短答で足をすくわれないために

昨年、刑法の短答で失敗してしまったという声をよく聞く。

原因は、何だろうか。

それは、成立する犯罪を判断できないためである。

刑法では、~の事例に○○罪が成立する。○か×か。

みたいな問題がよく出題される。

瞬時に、犯罪該当性を判断できなければならないのだ。

判断するためには、各論の構成要件を頭に入れた上で、典型的な成立例を覚えておく必要がある。

百選の判例だけでなく、判例六法の各論の判例を見ておくのが一番の対策である。

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限時法の理論

限時法の理論と聞いて、どういうものかすぐわかるだろうか?

あるいはすぐ説明できるだろうか?

昨年、刑法の短答式試験で足切りされてしまった方が多く、

「刑法はどこまで勉強すればよいのですか?」とよく聞かれる。

論文と共通分野は一端横においておいて、今日はいわゆる短答プロパーの話をしよう。

簡単だ。

どの基本書にも書いてあるようなこと、条文に書いていることを理解すればよい。

ただそれだけだ。逆にどの基本書にも書いてあることを理解していなければ、ただの勉強不足だ

例えば、表題の限時法の理論。これはどの基本書にもおそらく書いてあるだろう。

司法試験に受かるということは、刑法を一通り学習したという証明でもあるのだから、

通説と動機説くらいは押さえておきたい。

ちなみに念のため、

限時法とは存続期間を定めた刑罰法令のようなもの。

経過規定(失効前に犯された罪についての罰則の適用についてはなお従前の例による等)があれば問題はない。

しかし、経過規定がない場合、
失効直前に罪を犯しても、裁判時に失効していると刑罰を課せないため、失効が近くなるにつれて法が守られなくなるという問題
がある。

そこで、解釈によって認めようとするのが限時法の理論である。

動機説とは、限時法廃止の理由が、国家の法律的見解の変化によるものでないならば、追及効が認められるとする理論である。

しかし、通説は、罪刑法定主義に反することを理由に、限時法の理論を認めない。

このような短答プロパー分野が手薄な方には、私の

短答直前ファイナルチェック講座

はおすすめである。

LECの完全整理択一六法を用い、憲民刑の3科目の短答プロパーをなんと4時間で回していく。

通信も通学(4月29日、渋谷本校)もある。

完択六法付きのコースもなしのコースもある。

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憲法の判例問題(短答)の学習法

ガイダンスでも話したことだが、ノート代わりにブログにも記載しておく。

憲法の短答にでる、判例問題が苦手という人がいる。
そのような方は、普段の判例学習が間違っていると思う。

やや易しめの、平成26年度公法系第3問(予備試験では第2問)で見てみよう。
この程度の問題でも、完全解答できる受験生はそう多くはない

〔第3問〕(配点:3)
法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,
それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№
5]から[№7])

ア.日本国籍は重要な法的地位であり,父母の婚姻による嫡出子たる身分の取得は子が自らの意
思や努力によっては変えられない事柄であることから,こうした事柄により国籍取得に関して
区別することに合理的な理由があるか否かについては,慎重な検討が必要である。[№5]

イ.非嫡出子という身分は子が自らの意思や努力によって変えることはできないから,嫡出性の
有無による法定相続分の区別の合理性については,立法目的自体の合理性及び当該目的と手段
との実質的関連性についてより強い合理性の存否を検討すべきである。[№6]

ウ.尊属殺という特別の罪を設け,刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが,加重
の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,これを正当化し得べ
き根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。[№7]

答えは当然順に1、2、1である。

これが正解できなかった、あるいは根拠があいまいだった人は、判例学習で次のことを心がけてほしい。

まず、判旨を読んで、判例はどんな基準(審査基準)を使っているか読み取る

そして、それがどうあてはめされているのかを読み取る。

これだけだ。これができていない受験生が多い。

たとえば、アの選択肢の元となった国籍法事件では、

14条違反の審査基準は、「合理的か否か」という基準を用いている
これは、昔から判例が用いている基準である。
しかし、本人の意思や努力によっても変えることができないという特殊事情を重視して、審査密度を上げている

重要なのは、枠組み自体は堅持しているということだ

このことを理解すれば、特殊事情で「枠組み」自体を変化させているイは誤りだということがわかる。

ウは尊属殺の判例をきちんと理解していればわかるだろう。

素材はどの判例集でもかまわないが、私は百選を勧めている。最近の百選は解説が受験向きだからだ。

百選を自分で読んでも十分学習できるが、よりスピーディーにマスターした方は、私の
憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ<第6版>スピード攻略講座を受講していただきたい。

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短答を解く時の思考過程~H26民法第6問

〔第6問〕(配点:2)
消滅時効の起算点に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを
組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№6])

ア.不確定期限の定めのある債権の消滅時効は,債権者が期限の到来を知った時から進行する。
イ.契約解除に基づく原状回復義務が履行不能になった場合において,その履行不能による損害
賠償請求権の消滅時効は,原状回復義務が履行不能になった時から進行する。
ウ.無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は,転借人が転貸借契約に基づい
て当該土地の使用収益を開始した時から進行する。
エ.安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効は,損害が発生した時から進行する。
オ.10回に分割して弁済する旨の約定がある場合において,債務者が1回でも弁済を怠ったと
きは債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべきものとする約定があるときには,残債
権全額の消滅時効は,債務者が弁済を怠った時から進行する。

1.アイ2.アオ3.イエ4.ウエ5.ウオ


 消滅時効の起算点についての問題です。これを見たとき「しまった」と思われた方も多いでしょう。

典型論点なんですが、手薄なところです。ここは、「履行遅滞に陥る時期」とセットで覚えておく必要があります。

LECの完全整理択一六法 民法をお持ちの方は、P108に表がありますので、ぜひチェックしておいて下さいね。

アは、期限の到来のときなので、×です。期限到来時から、債権者は権利行使できますからね。ちなみに、遅滞の時期は異なっているので、412Ⅱを見ておいて下さい。

イも×ですね。本来の債務の履行(原状回復義務)を請求できるときからです。これが、すぐに判断できない人は、次の2つの基本事項から判断してください。①債務不履行による損害賠償請求権は、本来の債務の履行を請求できるときから進行する
 これは基本知識ですよね。覚えてない方はいますぐ、覚えてください。

②契約解除による原状回復請求権の消滅時効は、解除権行使の時から進行する。
 この2つをあわせると、もともとの債務と原状回復請求権は=ではない
 しかし、原状回復請求権(本来の債務)と、その債務の履行不能による損害賠償請求権は同一

 だから、本来の債務の履行(原状回復義務)を請求できるときから時効は進行する。
 というわけになります。ロジックを一つ一つ踏んだほうが、自分の思考に合う人は、このように考えてください

ウの選択脚ですが、まず、無断転貸を理由とする解除がいつからできるかが問題です。
これはもちろん、転借人が使用収益を開始したときからですよね。
とすれば、このときから権利行使できるから、消滅時効も進行する。
○ということになります。

エは、少し特殊です。イで解説した①のロジックを判例は取っていません。あくまで、損害発生時から進行するとしています(被害者救済の観点)。だから○。
 但し、自信がなければ、この肢は△と判断して次に行きましょう。

オですが、割賦金債務の消滅時効についてはしっかり理解されているでしょうか。
2パターンあります。
債権者の請求によらずに直ちに残債務全額を弁済すべき約定の場合には、残債権全額の消滅時効は、債務者が弁済を怠ったときから進行します。
しかし、本肢のように「債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべきものとする約定」があるときには、債権者の請求の意思表示があったときから、消滅時効が進行します。
 なぜなら、弁済を怠った時から進行させると、弁済を怠った債務者に有利になってしまうからです。×です。

 従って、答えは4になります。

 いずれも重要な選択肢でした。わからなかったところがあれば、よく復習しておいて下さい。

 そして、同じ知識が出るとは限らないので、短答は、知識を身につけることも重要ですが、解き方の思考を身に着けることも重要です。

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短答を解く時の思考過程~H26民法第5問

〔第5問〕(配点:2)
取得時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み
合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№5])

ア.10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する者は,占有を開始した時及びその時か
ら10年を経過した時の2つの時点の占有を主張・立証すれば足り,所有の意思をもって,平
穏に,かつ,公然と物を占有したこと,占有の開始時に善意無過失であったことについて主張
・立証する必要はない。
イ.時効期間を計算する際には,その期間が午前零時から始まるときを除き,期間の初日は算入
しない。
ウ.外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったと解
される事情を証明すれば,所有の意思を否定することができる。
エ.Aが所有する不動産についてBが占有を継続したことにより取得時効が完成しても,Bは,
その登記をしなければ,その後にAからその不動産を取得したCに対しては,時効による権利
の取得を対抗することができない。
オ.他人が所有する土地を自己所有の土地として第三者に賃貸した者は,その第三者が20年間
その土地を占有したとしても,取得時効によりその土地の所有権を取得することはできない。
1.アウ2.アオ3.イウ4.イエ5.エオ

 この問題は、取得時効の要件事実を知っていれば解けます。わからない方は、「問題研究要件事実」等を今すぐ読んでくださいね。まだ間に合います。試験まであと3か月ですが、足りないものをどんどんつぶしていきましょう。

 まず、アですが、無過失は推定されないことを知っていると、すぐに誤りだとわかります。
 イは、初日不算入原則から、正解となります。
 若干マニアックだと思われるかもしれませんが、紛争類型別などにも載っている知識なので覚えてしまいましょう。

 時効期間は占有開始日の翌日から計算します(140条)が、時効の効果が遡るという起算日は占有開始日になります。

 ウも正しいですよね。他主占有権限か他主占有事情を主張立証すれば所有の意思を否定できます。

 エも一瞬で○と判定してください。時効完成後の第三者であるCに対して、Bは時効による所有権取得を登記なくしては対抗できません。

 オも×ですよね。第三者は賃借人なので、「所有の意思」がありません。所有の意思は外形的客観的に判断されることも思い出しておいてください。ちなみに、第三者は「賃借権」を時効取得できる可能性はあります。

 ということで、正解は、2になります。
 
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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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