司法修習生給費制復活は正しいのか?
司法修習生への給費制が復活するという話があります。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HC7_Z11C16A2CR8000/
この日経のニュースによれば、月13.5万円の給付が司法修習生になされるそうです(貸与制も存続)。
司法修習生の給費制復活を望む声も多かったのですが、果たして、この給費制復活、本当に司法修習生や法曹のためになるのでしょうか。私は3つの観点から疑問があります。
1、司法修習生への課税はどうなる?
月13.5万円ということは、年間160万円弱。これが、所得ということになれば、所得税も住民税も課税されますし、
国民年金も免除になりませんし、国民健康保険も払わなければなりません。
もちろん、かつての修習生のように公務員扱いになるかもしれませんが、それでも所得であるならば、課税はされますし、社会保険料もかかります。
もしかすると、非課税なのかもしれませんが、それは今後の法務省の流れを見ないとわからないでしょう。
現段階では、これは給費制を復活させ司法修習生のガス抜きを図るとともに、課税して、国庫の支出は実は少なくて済む、
巧妙な政策ではないのかと思ってしまいます。
2、司法修習生のアルバイトが禁止されないのか?
司法修習生の給費制が廃止されると、その反面、法科大学院の指導などのアルバイトが、文字通りの許可制から、建前上の許可制(実質上の届出制)へと変化しました。
私は、そのおかげで、司法修習生の間も、LEC東京リーガルマインドの講師をすることができました。
もちろん、アルバイト解禁第1陣でしたから、変に目を付けられないよう、修習もそれなりにやりましたし、裁判官や検察官、教官、弁護士との飲み会も積極的に参加しました。飲み会でのおそらく本音の話は、今でも私の財産になっています。普通は聞けないような話が聞けたので。
ここで、給費制が復活すると、司法修習生のアルバイトがまた禁止されるのではという危惧があります。
月13.5万円(家賃補助を入れたらもう少し多い)で生活を維持するというのは、なかなか厳しいでしょう。
月13.5万円(家賃補助を入れたらもう少し多い)を給費するからアルバイトを禁止するというのは、生存権の自由権的側面の制約だと思ってしまいます。
3、そもそも給費制復活は妥当なのか?
多方面からの批判を承知で申し上げます。私は給費制復活自体反対です。
(私は給費を受けてないので、申し上げてもいいと思ってますが)。
実は、私はビギナーズネットのような活動には反対です。
この、弁護士や修習生の給費制復活運動、国民の目から見たらどう映るのでしょうか?
「食えない弁護士が増えたって本当なんだな」
「司法試験に受かってもみじめなものだな」
こんな声を助長させているのではないでしょうか?
ちなみに、私の実感ですが、弁護士の仕事はまだまだたくさんあると思います。ただ、脱線してしまうのでその話はしません。
それに、企業法務ばかりやってる弁護士になる場合、なぜ修習中に給費を受ける正当性があるのでしょうか。
むしろ、以下のような制度設計にすべきです。
・司法修習中は貸与制(無利子で月20~30万円程度を貸し付ける)
・裁判官、検察官を5年以上努めあげれば免除(国の役に立っているから)
・国選弁護制度や、学校や児童相談所への弁護士派遣、発展途上国の法制度支援、市民法律相談などの制度を拡充し
新人弁護士にその仕事を優先的に割り当てる(貸与金を返せるくらい)
国民の役に立っているから、給費を受ける正当性があります。
しかし、公益活動に熱心でない弁護士がある以上、公務員である裁判官・検察官をやったら免除。
公益活動で報酬が出る仕事を優先的に新人弁護士に割り当て、実質的に貸与金免除と同じ状態にする。
これがよいのではないでしょうか。
給費制でないと、貧しい人が弁護士になれない、その主張は十分わかります。
しかし、国民の役に立つから、給費を受けられる、それも正しいと思うのです。
このブログを見てる方は司法試験受験生の方が多いと思いますが、司法修習生の給費制復活についてどう思いますか?
安易に給費制復活という考えに流れずに(まあ欲しいのもわかりますが)、法曹って何のためにあるのか、真剣に考えてほしいと思います。
注)以上の考えは、私武山の個人の考え方でして、LEC東京リーガルマインドの見解ではございません。
*私武山自身が実戦的な答案例を書き上げました(特別講義に付属)。LECの勢力を結集した模試をぜひ受けましょう。
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この日経のニュースによれば、月13.5万円の給付が司法修習生になされるそうです(貸与制も存続)。
司法修習生の給費制復活を望む声も多かったのですが、果たして、この給費制復活、本当に司法修習生や法曹のためになるのでしょうか。私は3つの観点から疑問があります。
1、司法修習生への課税はどうなる?
月13.5万円ということは、年間160万円弱。これが、所得ということになれば、所得税も住民税も課税されますし、
国民年金も免除になりませんし、国民健康保険も払わなければなりません。
もちろん、かつての修習生のように公務員扱いになるかもしれませんが、それでも所得であるならば、課税はされますし、社会保険料もかかります。
もしかすると、非課税なのかもしれませんが、それは今後の法務省の流れを見ないとわからないでしょう。
現段階では、これは給費制を復活させ司法修習生のガス抜きを図るとともに、課税して、国庫の支出は実は少なくて済む、
巧妙な政策ではないのかと思ってしまいます。
2、司法修習生のアルバイトが禁止されないのか?
司法修習生の給費制が廃止されると、その反面、法科大学院の指導などのアルバイトが、文字通りの許可制から、建前上の許可制(実質上の届出制)へと変化しました。
私は、そのおかげで、司法修習生の間も、LEC東京リーガルマインドの講師をすることができました。
もちろん、アルバイト解禁第1陣でしたから、変に目を付けられないよう、修習もそれなりにやりましたし、裁判官や検察官、教官、弁護士との飲み会も積極的に参加しました。飲み会でのおそらく本音の話は、今でも私の財産になっています。普通は聞けないような話が聞けたので。
ここで、給費制が復活すると、司法修習生のアルバイトがまた禁止されるのではという危惧があります。
月13.5万円(家賃補助を入れたらもう少し多い)で生活を維持するというのは、なかなか厳しいでしょう。
月13.5万円(家賃補助を入れたらもう少し多い)を給費するからアルバイトを禁止するというのは、生存権の自由権的側面の制約だと思ってしまいます。
3、そもそも給費制復活は妥当なのか?
多方面からの批判を承知で申し上げます。私は給費制復活自体反対です。
(私は給費を受けてないので、申し上げてもいいと思ってますが)。
実は、私はビギナーズネットのような活動には反対です。
この、弁護士や修習生の給費制復活運動、国民の目から見たらどう映るのでしょうか?
「食えない弁護士が増えたって本当なんだな」
「司法試験に受かってもみじめなものだな」
こんな声を助長させているのではないでしょうか?
ちなみに、私の実感ですが、弁護士の仕事はまだまだたくさんあると思います。ただ、脱線してしまうのでその話はしません。
それに、企業法務ばかりやってる弁護士になる場合、なぜ修習中に給費を受ける正当性があるのでしょうか。
むしろ、以下のような制度設計にすべきです。
・司法修習中は貸与制(無利子で月20~30万円程度を貸し付ける)
・裁判官、検察官を5年以上努めあげれば免除(国の役に立っているから)
・国選弁護制度や、学校や児童相談所への弁護士派遣、発展途上国の法制度支援、市民法律相談などの制度を拡充し
新人弁護士にその仕事を優先的に割り当てる(貸与金を返せるくらい)
国民の役に立っているから、給費を受ける正当性があります。
しかし、公益活動に熱心でない弁護士がある以上、公務員である裁判官・検察官をやったら免除。
公益活動で報酬が出る仕事を優先的に新人弁護士に割り当て、実質的に貸与金免除と同じ状態にする。
これがよいのではないでしょうか。
給費制でないと、貧しい人が弁護士になれない、その主張は十分わかります。
しかし、国民の役に立つから、給費を受けられる、それも正しいと思うのです。
このブログを見てる方は司法試験受験生の方が多いと思いますが、司法修習生の給費制復活についてどう思いますか?
安易に給費制復活という考えに流れずに(まあ欲しいのもわかりますが)、法曹って何のためにあるのか、真剣に考えてほしいと思います。
注)以上の考えは、私武山の個人の考え方でして、LEC東京リーガルマインドの見解ではございません。
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