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初学者向けの会社法・商法学習法

会社法・商法は、初学者の方が苦手意識を持ちやすい分野です。そこで、初学者の方が、会社法・商法について、どのように学習していけばよいか、少し解説します。

1,思い切って会社法に絞る

 司法試験・予備試験に出題される商法(広義の商法)は、会社法、商法(狭義の商法、商法という名前の法律ということ)、手形・小切手法です。
 しかし、出題の中心は会社法です。思い切って、初学者は学習対象を会社法に絞りましょう。会社法だけでも量は膨大です。

注)商法の中の海商法は出題範囲外です。

2,民法を大事にする。が、民法の代理だけ知っておけば、わりと進める。

 広義の)商法は、民法の特別法です。民法は、私人(国や地方公共団体ではない、一般の人や法人)間の取引についてのルールを定める法律なので、商売絡みの商法の一般法となるわけです。
  ただ、会社法は、組織法(組織に関する仕組みやルールを定めた法律)なので、取引とは違った側面もたくさんあります。
 実は、民法で一般社団法人法というものを少しだけ取り扱うのですが、一般社団法人法は、むしろ会社法をモデルに作っているという側面があるのです。
 ですので、学問的には語弊がありますが、
・取引の一般法→民法
・組織の(実質)一般法→会社法
と捉えていたほうがよいでしょう。

 そして、民法の代理だけは、会社法の基礎になりますので、会社法を学ぶ前に知っておいていただきたいのですが、その他は学んでなくとも何とかなります。

 実際に、公認会計士試験は、会社法は必修なのですが、民法は必修ではありません。民法のすべてを知らなくとも会社法の学習は可能なのです(もちろん民法を学んだほうが学習しやすいのは当然ですが)。

3,イメージを掴む。2種類の会社をイメージ!

 会社法はイメージがわきにくい科目です。「株式会社」という言葉は聞いたことはあるけれど、実際に何をしているかわからないという方もいるでしょう。
 また、会社法は、条文が1000近くもあり、また、技術的なルールを定めているため、条文も長く、わかりにくいです。
 少しでもイメージをつけてもらうために、会社法で扱う会社は2パターンあると思ってください(もちろん他にもありますが、わかりやすさを優先させるために、極端な話をします。)
 1つは、中小企業で、例えば町工場を経営しているような会社。社長1人に、他に奥さんが取締役。従業員も数名です。このような小さな会社は、会社の株式を譲渡するのに、会社の承諾が必要なようになっています(譲渡制限会社といいます)。ちなみに、会社のオーナー(所有者)は株主なので、株式というのは会社のオーナー権ということになります。
 もう1つは、すごく大きい企業。例えば、パナソニックとかソフトバンクとか、誰もが聞いたことのあるような企業。
 このような大きな会社は、役員が何人もいて、取締役会という会議があります(取締役会設置会社といいます)。
そして、大きな会社は、株式上場していて、株式の譲渡が可能です(公開会社といいます)。ソフトバンク株を買うとかできますよね。
 この2つのタイプの会社って全然違いますよね?でも、それを統一的に定めているのが会社法なのです。
 今、どちらのタイプの会社の話をしているのか、意識すると、見通しがよくなります。

4,,総論、設立はあっさりと!機関・株式・資金調達を中心に!
 会社法を学習すると、最初は総論→設立と話しが進みます。しかし、ここはあっさりと流しましょう。
 特に、司法試験や予備試験の初学者の方は、設立でつまづく方が多いように思えます。設立は、難しい論点も多く、また会社法の後半の知識も必要です。
 そもそも、会社の設立って、その会社には1度しかないことです。そのようなイレギュラーに深入りするより、会社が通常何をやっているかを先に学んだ方が、会社法の学習は公立がよいのです。
 ですので、設立の先の「機関・株式・資金調達」を中心に学習しましょう。

5,株式や組織再編は最初は深入りしない。
 ただ、4であげた株式という箇所はマニアックな話も多いです。最先端の企業の合併なども関わってくるからです。組織再編も同様です。
 ですから、最初はざっくりとした理解にとどめましょう。

6,司法試験合格者でも、全部の条文に目を通している人は少ない。
 会社法は条文が大量にありますが、短答にも論文にも出題されたことのない条文は大量にあります。ですので、マニアックな条文まで覚える必要はないのです。

7,会社法の一部を体験してみよう
 会社設立するのが一番ですが、勉強のためにそこまでコストをかけるわけにはいかないですよね。
 そこで、
①会社設立の書類を自分で作ってみる
②証券会社の口座を開設して株式の動きを見てみる
の2つをお勧めしています。ただ、ちょっと手間はかかります。

①を行うことで、会社設立の手続きがわかります。その際、必ず、会社法の条文に当たるようにしてください。理解が深まります。

②を行うことで、株式の併合や、会社の合併など、なかなかイメージがつかないことが、現実に起こっていることを体験できます。

また、手前みそですが、私のビジネス実務法務検定1冊目の教科書の会社法の箇所を予め読んでおくと、司法試験レベルの会社法の学習にスムーズに進めます(できれば契約法も読んでおきましょう)。今月改訂版になりました。
この書籍は、ビジネス実務法務検定受験者向けのものなので、初学者以外にはお勧めできません、

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テーマ : 司法試験・資格試験・語学試験
ジャンル : 学問・文化・芸術

実務のイメージは司法試験に有用か

(このブログは、司法試験・予備試験受験生向けのブログです)

昔から、よくある議論ですが、「司法試験を教える講師は、実務家である必要があるか?」という問題があります。

例えば、LECの岩崎講師や、アガルートの工藤講師は、実務家ではありませんが、有名な司法試験講師です。
一方で、司法試験講師でかつ実務家(基本的には弁護士)の講師も数多くいらっしゃいます。

実務家の方がわかりやすい講義をできるか、これは人によりますし、ケースバイケースでしょう。

私は、かつて、司法試験(や予備試験合格)に、実務のイメージは必要ないと思っていました。

しかし、実務家になってから、がらっと意識が変わりました。

少なくとも、民訴・刑訴については、実務のイメージができたほうが圧倒的に有利だと。

例えば、民訴の有名な論点に、
「裁判上の和解を債務不履行解除した場合、和解を無効として、続行期日の指定の申立てができるのか、新訴提起しなければならないか、という問題があります」

次のような具体例を考えてみてください。

Case) Xは、Yから暴行を受けたとして、Yに対し150万円の損害賠償請求をした。弁論準備期日で和解の話が出たとき、裁判官は「Yからの暴行があったと思うが、150万円は損害賠償額として高額すぎる。せいぜい50万円くらいではないのか」と言われ、YからXに50万円支払われることで、和解が成立した。
 YからXの代理人弁護士に、和解成立から1か月以内に50万円が振り込まれることになったが、振込はなかった。

 この場合、Xとしては、まず和解調書に基づき、Yに金50万円を請求していくことになります。

 また、Xとしては、和解だから50万円という低額の損害賠償でも納得をしたが、和解でまとまらないならば、もっと請求したいという気持ちもあるでしょう。そんな場合は、和解を解除して、新訴提起することになります。
 ここで、裁判上の和解を債務不履行解除した場合、期日申立ができるのが、新訴提起すべきなのかという論点が絡んでくるわけです。
 期日申立は、今までの裁判の続きをやるということです。裁判官が同じなら、暴行があったという心証も引き継がれるでしょう。有利に裁判を進めていた者にとっては、こっちのほうがよさそうです。(ただ、Xに不利な心証も当然引き継がれるわけですから、諸刃の剣とも言えますが)
 一方、新訴提起になると、新しい裁判官が一から心証形成するわけです。

 このように、実務のイメージがあると、民訴や刑訴の「この論点の実益や影響力」がわかるわけです。

 ちなみに、実務では、席上交付(和解と同時にお金を払うこと)も行われます。そうすれば、この論点は出てこなくなりますね。

 司法試験・予備試験受験生のみなさん、今は予備試験の科目で民事実務・刑事実務科目もあるので、(わかる限りで結構ですが)実務をイメージしながら学習を進めてください。民訴・刑訴の学習に深みがでるはずです。

※私、武山の行っている司法試験・予備試験入門講座の詳細は以下をご覧ください。

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司法試験・予備試験において反対説は押さえなくてよいのか

(こちらは、司法試験・予備試験受験生向けのブログです)

司法試験・予備試験の学習は、まずは基本的概念や条文を理解することから始まります。

予備校で言えば、入門講座。独学の方は基本書の読み込みになるでしょう。

民法で言えば、最初の方に、権利能力というものを扱います。
権利能力というのは、簡単に言えば権利を持ったり、義務を負ったりする能力。

この時点で、普通の方は「???」と疑問符が並ぶわけです。

次に、講師や(あるいは基本書の叙述が)、「昔は奴隷という制度があって、奴隷は財産を持てなった。それを権利能力がないと言うんだ」と説明して、何となくわかるようになってくるわけです。

そのうち、「人はいつから人なのか」という、ある意味哲学的な論点(解釈における問題点)が出てきて、一部露出説(母体から一部でも出たら人になる)と全部露出説(母体から全部出たら人になる)の対立などを習うわけです。

もちろん、民法は全部露出説が通説、ということであっさり終わる講義が多いでしょう(私の講義もそうです)

ここで、司法試験・予備試験の論点には「通説」(一般的に通用している説)と「有力反対説」(通説に反対している有力な説)が出てくるわけです。

現在の司法試験・予備試験は、基本的には「通説」だけを押さえれば、まずまずの点数が取れるようになっています。

しかし、「反対説」を押さえる必要は、本当にないのか?
押さえる必要があるとすれば、どのような場合に「反対説」を押さえなければならないのか。

ここは、ある程度明確な指針を持って、予備試験・司法試験の学習を進めていったほうがよいということになります。

そんな少し突っ込んだ内容は、最新の予備試験合格者に聞いてしまいましょう。

大学2年生で合格 予備試験1年合格者が現実に取った学習法

2020年2月24日(月祝)16:00~17:00 @LEC池袋本校です。

もちろん全国で同時中継もいたします。詳しくは、上記ブログのリンクをご覧いただくか、

LECのこちらのページ
大学2年生で合格 予備試験1年合格者が現実に取った学習法
をご参照ください。

皆さまにお会いできるのを、私も合格者も楽しみにしております。

なお、武山クラス入門講座の詳細は以下をご覧ください。

武山クラス入門講座

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司法試験中日の過ごし方

司法試験を受験されている皆様、2日間、本当にお疲れ様でした。

最初の2日間は本当にハードだったと思います。
まずは今日、ゆっくり休んでください。

そして、明日は待ちに待った?中日です。

遊びたい方、終わった試験の振り返りをしたい方、やむを得ず仕事をしなければならない方など様々だと思いますが、実は中日の過ごし方が司法試験の勝敗を分けます。

なぜか?

中日の次の日は刑事系の試験しかないからです。そして、1日あれば、刑事系の論証は回せますし、覚えてない論点があっても無理やり覚えられます。

つまり、中日は、翌日の刑事系の論文対策をしてください。
論証を眺める。場合によっては、過去問の優秀答案などを見てあてはめのイメージをつける。

ついでに、刑法の短答対策も少ししましょう。

中日→刑法の論文、刑訴の論文、刑法の短答
4日目→憲法と民法の短答

をやれば、結構はかどります。
私はこの勉強をやっていました(当時は短答試験は7科目でしたが)

ただし、がつがつ勉強をやらないでください。
体を休めることも大切なので、体調が悪かったらゆっくりやすむ。

体調がよいなら、リラックスしてのんびりと勉強をしましょう。

それでは残り半分も頑張ってください。


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【司法試験中上級】直前期は行政法を

たまには、司法試験や予備試験の中上級(試験受ける直前の人向け)の記事を書きます。

最近は、LECで入門講座をやっている関係で、初級(入門生)向けの記事ばかりだったので。

5月に、司法試験の論文短答式試験と、予備試験の短答式試験があります。
あと1か月くらいで本試験です。

直前期はやることがたくさんあるよーって方
むしろ何をやればよいかわからないという方

いろんな方がいらっしゃると思います。

そんな直前期に、ぜひ確認してほしい科目があります。
それは「行政法」です。
(「会社法」も似たような性質があるのですが、それは別記事で書きます)。

行政法は覚える量も少なく、判例のあてはめの仕方や「仕組み解釈」というものを身に付ければ、短期間で論文の点数が伸びます。
短答も、判例と(数少ない行政手続法の条文)を押さえれば点数が伸びます。

しかし、「仕組み解釈」がよくわからないよーって方は、どうすればよいか途方に暮れているでしょう。

そんな方は次のことをやってください。

判例百選Ⅱの「処分性」「原告適格」「訴えの利益」を読む!
余裕があれば判例百選Ⅰ「行政行為」や「行政裁量」の部分を読む!!

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これは、直前期の間に合わせの(つまり姑息的な)学習法です。

でも、「仕組み解釈」が何だ?と考えなくても、とにかく判例を読んで何となく理解しとくだけでそれなりに点数が取れます。

直前期、ぜひ徹底的にあがいて、一点でももぎ取りに行ってください。
直前期は、きれいごとはいってられません。

論証もとにかく詰め込みましょう。

1か月はすぐ経ちますが、まだやれることはあります!

※ちなみに本日は初級向けのガイダンスがあります。この前後に質問していただいても結構です。
明日の司法試験ガイダンス

*講座のお知らせ
・重要論点を12時間で!
講師オリジナル論証集 解説講義


・短答が苦手な方は、知識のインプットと過去問演習を!論文対策にもなるよう、論証風に知識をインプットする箇所もあります!!
短答過去問コンプリートマスター

・論文対策と短答対策を兼ねて。百選はやっぱり大切です。
判例百選スピード攻略講座


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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

★その他のブログ等
司法試験と予備試験

一般の方向けのブログはこちら
世界一わかりやすい法律の授業を目指すブログ

不動産の法務と税務

起業の法務と税務

民法の初学者向けのブログはこちら
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→https://twitter.com/takeyam33102813

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