短答を解く時の思考方法~H26年民法第4問
少し間が空きましたが、短答の続きです。
〔第4問〕(配点:2)
無権代理に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わ
せたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№4])
ア.本人に代わって弁済を受領する権限がない者が本人の有する債権について本人に代わって弁
済を受領した後に,第三者が当該債権を差し押さえて転付命令を得た場合において,その後に
本人がその弁済受領行為を追認したときは,当該第三者は,転付命令により当該債権を取得す
ることはできない。
イ.本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合であっても,その後に無権代理人が本人を相続し
たときは,無権代理行為は有効になる。
ウ.無権代理人を相続した本人は,無権代理行為について追認を拒絶することができる地位にあ
ったことを理由として,無権代理人の責任を免れることができない。
エ.本人が無権代理人に対して無権代理行為を追認したとしても,相手方がこれを知るまでの間
は,本人は,無権代理人に対しても追認の効果を主張することができない。
オ.無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において,他の共同相続人の一人が
追認を拒絶したときは,無権代理行為は有効にならない。
1.アエ2.アオ3.イウ4.イエ5.ウオ
正解 5
ア これ大丈夫でしょうか。民法116条但の典型例ですよね。一瞬で×と判断してください。
尚、短答が苦手な方は、AさんBさんと具体的な事例で考えてみてください。
今回は、本人(債権者)A、無権限者B、債務者C,第三者Xで考えてみます。
債務者Cが無権限者Bに弁済しても、AのCに対する債権は消えません。そこで、Xがこの債権を差し押さえました。ところが、Aがそのあと、無権限者Bの弁済受領行為を追認しました。追認は遡及効がある(116本文)ので、Xの差し押さえは空振りになりそうです。しかし、それだとXが害されるので、Xは116条但で保護されます。
イ、これも基本です。本人が追認拒絶すると、そこで無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定します。従って、無権代理人が本人を相続しても有効になることはありません。
ウ、これも大丈夫でしょうか。無権代理と相続は、パターン別にマスターしておいてくださいね。論文・短答対策ともに重要です。この場合の本人は、本人としての地位と無権代理人としての地位を併存して有しています。そこで、本人の地位に基づいて、追認拒絶はできるが、無権代理人の責任を免れることはできないとされます。従って○です。
但し、特定物についての履行責任まで認めると、追認拒絶を認めた意味はないので、特定物についての履行責任はないとするのが有力説です。
エ、 113条2項の少し変わった聞き方です。確かに追認または追認拒絶は、相手方に対してしなければ、相手方が知るときまでは対抗できません(113Ⅱ)。しかし、無権代理人に対しては追認の効果を主張できるでしょう(無権代理人は知っているから)。
オ、共同相続の場合、追認は全員そろわないと効力を有しないとされます。そして、他の共同相続人は追認拒絶できますので、オの場合は追認は有効となりません。この肢も○です。
尚、本人を相続した無権代理人は、信義則上、追認拒絶できません。
以上よろしいでしょうか。すべて基本知識なので、わからなかったところがあれば復習しておいてください!!
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無権代理に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わ
せたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№4])
ア.本人に代わって弁済を受領する権限がない者が本人の有する債権について本人に代わって弁
済を受領した後に,第三者が当該債権を差し押さえて転付命令を得た場合において,その後に
本人がその弁済受領行為を追認したときは,当該第三者は,転付命令により当該債権を取得す
ることはできない。
イ.本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合であっても,その後に無権代理人が本人を相続し
たときは,無権代理行為は有効になる。
ウ.無権代理人を相続した本人は,無権代理行為について追認を拒絶することができる地位にあ
ったことを理由として,無権代理人の責任を免れることができない。
エ.本人が無権代理人に対して無権代理行為を追認したとしても,相手方がこれを知るまでの間
は,本人は,無権代理人に対しても追認の効果を主張することができない。
オ.無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において,他の共同相続人の一人が
追認を拒絶したときは,無権代理行為は有効にならない。
1.アエ2.アオ3.イウ4.イエ5.ウオ
正解 5
ア これ大丈夫でしょうか。民法116条但の典型例ですよね。一瞬で×と判断してください。
尚、短答が苦手な方は、AさんBさんと具体的な事例で考えてみてください。
今回は、本人(債権者)A、無権限者B、債務者C,第三者Xで考えてみます。
債務者Cが無権限者Bに弁済しても、AのCに対する債権は消えません。そこで、Xがこの債権を差し押さえました。ところが、Aがそのあと、無権限者Bの弁済受領行為を追認しました。追認は遡及効がある(116本文)ので、Xの差し押さえは空振りになりそうです。しかし、それだとXが害されるので、Xは116条但で保護されます。
イ、これも基本です。本人が追認拒絶すると、そこで無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定します。従って、無権代理人が本人を相続しても有効になることはありません。
ウ、これも大丈夫でしょうか。無権代理と相続は、パターン別にマスターしておいてくださいね。論文・短答対策ともに重要です。この場合の本人は、本人としての地位と無権代理人としての地位を併存して有しています。そこで、本人の地位に基づいて、追認拒絶はできるが、無権代理人の責任を免れることはできないとされます。従って○です。
但し、特定物についての履行責任まで認めると、追認拒絶を認めた意味はないので、特定物についての履行責任はないとするのが有力説です。
エ、 113条2項の少し変わった聞き方です。確かに追認または追認拒絶は、相手方に対してしなければ、相手方が知るときまでは対抗できません(113Ⅱ)。しかし、無権代理人に対しては追認の効果を主張できるでしょう(無権代理人は知っているから)。
オ、共同相続の場合、追認は全員そろわないと効力を有しないとされます。そして、他の共同相続人は追認拒絶できますので、オの場合は追認は有効となりません。この肢も○です。
尚、本人を相続した無権代理人は、信義則上、追認拒絶できません。
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