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私人間効力で気になる点~その2

前回出題したお題の解説である。

お題はこちら→私人間効力で気になる点~その1

※なお、LECのセミファイナル編のネタバレにつながる点もあるので、未受験の方は受験してからご覧ください。

<ダメな答案例>
 私人間効力で間接適用説の論証を書く
    ↓
 個人情報保護法16条指摘
    ↓
 Xの行為は目的外利用、個人情報保護法16条違反
    ↓
 よって違憲

 何がダメかわかるだろうか?
 この答案、ある意味余事記載があるのである。
 個人情報保護法16条の解釈をしているだけだから、私人間効力の論証は不要な論述だったのである。

 もちろん、憲法の論文なので、憲法論を書かないわけにはいかない。だから、憲法論と個別法の解釈をブリッジしていかなければならないのである。

<つなげた簡単な例>
 私人間効力で間接適用説の論証を書く
    ↓
 個人情報保護法16条指摘。そして、個人情報の利用がともすれば、人格的生存にかかわる自己情報コントロール権を侵害するおそれがある以上、「特定された利用目的の範囲」を超えるか否かは厳格に解釈すべき。
    ↓
 確かに原発の再稼働に賛成する署名を求める行為は、結果的に電気料金が安くなることにつながるなど、電気の消費者にメリットのある点もあり、特定された利用目的と全く関係がないとまではいえない。しかし、厳格に解釈する以上、電気料金の収納に直接関連する行為以外は、「特定された利用目的の範囲」を超えると判断すべき。
    ↓
 署名を求めるXの行為は関連性が極めて薄い。目的外利用、個人情報保護法16条違反


これは、憲法の価値を個別法に充填して、個別法の解釈を厳格にした例です。

私人間効力の他に、裁量論にも適用できますし、生存権の抽象的権利説なんかにも応用がききます。

判例の「人権の重要性に思いをはせて」型のロジックもこれに近いと言えます。

私の、憲法判例百選スピードマスター講座にも、判例をベースにした答案構成例がついてますので、興味がある方はそちらもご参照ください。

これを参考にして、ぜひみなさんの憲法答案をレベルアップさせて下さいね。

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私人間効力で気になること~その1

受験生の方々から、憲法論文の書き方について質問を受けることがあるので、憲法に関する記事を少し書こうと思う。

※LECのセミファイナル編模試のネタバレにつながる部分もあるので、未受験の方は受験してから見てください。



私人間効力は、まず、間接適用説の論証を書いて、民法90条や個別の法解釈に入ってくのがよくあるパターンである。
そして、この書き方自体は何も間違っていない。

しかし、受験生の大部分は、間接適用説の部分と、個別の法解釈部分が分断されている。
憲法論と民法論が分断している。というか、憲法論を論じる意味がない論文を書いているのである。

具体的に見ていこう。

例:ある電力会社Xが、電気料金収納のために、顧客Aの個人情報を収集した。Xは、原発の再稼働を求める署名を集めるために、署名用紙をAに送付した。尚、Aの個人情報を収集する際に、XはAに署名活動に使われることがある旨を明示していない。

<個人情報保護法>
第十五条  個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。
2  個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

第十六条  個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

3  前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一  法令に基づく場合
二  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。


さて、みなさんはどう書くか?考えてみて下さい。

論述の流れは次回のブログで公開します→私人間効力で気になる点~その2

LEC東京リーガルマインド専任講師 武山茂樹

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短答を解く時の思考過程~H26民法第5問

〔第5問〕(配点:2)
取得時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み
合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№5])

ア.10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する者は,占有を開始した時及びその時か
ら10年を経過した時の2つの時点の占有を主張・立証すれば足り,所有の意思をもって,平
穏に,かつ,公然と物を占有したこと,占有の開始時に善意無過失であったことについて主張
・立証する必要はない。
イ.時効期間を計算する際には,その期間が午前零時から始まるときを除き,期間の初日は算入
しない。
ウ.外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったと解
される事情を証明すれば,所有の意思を否定することができる。
エ.Aが所有する不動産についてBが占有を継続したことにより取得時効が完成しても,Bは,
その登記をしなければ,その後にAからその不動産を取得したCに対しては,時効による権利
の取得を対抗することができない。
オ.他人が所有する土地を自己所有の土地として第三者に賃貸した者は,その第三者が20年間
その土地を占有したとしても,取得時効によりその土地の所有権を取得することはできない。
1.アウ2.アオ3.イウ4.イエ5.エオ

 この問題は、取得時効の要件事実を知っていれば解けます。わからない方は、「問題研究要件事実」等を今すぐ読んでくださいね。まだ間に合います。試験まであと3か月ですが、足りないものをどんどんつぶしていきましょう。

 まず、アですが、無過失は推定されないことを知っていると、すぐに誤りだとわかります。
 イは、初日不算入原則から、正解となります。
 若干マニアックだと思われるかもしれませんが、紛争類型別などにも載っている知識なので覚えてしまいましょう。

 時効期間は占有開始日の翌日から計算します(140条)が、時効の効果が遡るという起算日は占有開始日になります。

 ウも正しいですよね。他主占有権限か他主占有事情を主張立証すれば所有の意思を否定できます。

 エも一瞬で○と判定してください。時効完成後の第三者であるCに対して、Bは時効による所有権取得を登記なくしては対抗できません。

 オも×ですよね。第三者は賃借人なので、「所有の意思」がありません。所有の意思は外形的客観的に判断されることも思い出しておいてください。ちなみに、第三者は「賃借権」を時効取得できる可能性はあります。

 ということで、正解は、2になります。
 
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答練を受ける意義

ゼミをやっていると、答練と過去問は少し違うから、答練をどう利用してよいかわからないという質問があります。

答練の意義について述べておきます。

答練は、時間管理の練習です。
特に刑法などでは顕著ですが、司法試験ではすべての論点について厚く触れることは不可能です。

そこで、厚く論じるべき点(承継的共同正犯など)、軽く触れるにとどめる点(住居侵入罪の保護法益)、全く触れない点等を取捨選択する能力が必要なわけです。

その取捨選択の能力を磨くのが答練です

もちろん、本試験ででるような論点を考えていただくのも答練の意義です。
ただ、その能力は答練以外で磨かれることも多いのです(この点は、そのうち書きます)。

時間管理と論点の選択の訓練だと考えて、答練は受けましょう。

特に、途中答案になってしまう方、途中答案にならない方法を、答練を通じて真剣に考えてください!
途中答案は、本当に点数が低くなります。

必死で対策を考えましょう。

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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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