民事執行・保全法講義1~民事執行法とは
今日から、ブログで民事執行・民事保全法の講義を書いていこうと思います。
執行・保全の分野は予備試験では必須(特に民事実務の論文と口述試験)、司法試験でも知っておいたほうが良い分野(出題範囲には含まれている)にもかかわらず、学習が手薄なのが現実です。
また、司法試験合格後、司法修習に行くと、これを知らないと泣きを見ます。
そこで、私の備忘録もかねて、民事執行・民事保全法の講義を連載していきたいと思います。
まず、本日は民事執行法の導入です。
例)AさんはBさんに100万円を貸したが、Bさんはお金を返さなかったため、Aさんが提訴し、勝訴判決を得て確定した。
この時点で、国家権力が、AがBに100万円の債権を有することを認めたといいます。
しかし、民事訴訟で勝訴しても、国は取り立てをしてくれません。
そこで、AはBに、裁判で勝ったのだから支払ってくれというでしょう。
Bさんが素直に払ってくれれば、任意で支払ったといえ、話は丸くおさまります。
しかし、Bさんが払ってくれない場合、Aさんは、自力救済が禁じられているので、国家権力を使って取り立てすることになります。
具体的には、Bさんの預金口座を差し押さえたり、給与債権を差押えたり、Bさんの持っている土地や動産を差押えて競売したり、そのようなことで債権を回収することになります。
それが民事執行手続です。
このように、日本の裁判は、権利の確定手続(判決手続)と執行手続を分けています。
その執行手続について規律しているのが民事執行法です。
判決手続が先行しているので、執行手続は、比較的簡素なつくりになっています。
特徴としては、審理は任意的口頭弁論で行われますし(民執4条)、裁判形式は「決定」または「命令」です。
また、申立て方式は書面ですし、管轄も全て専属管轄です(民執19条)。
この講義を見ている方は、ぜひ条文を引きながら見ていってください。
本件で、Aさんは、確定した給付判決(民執22条1号)を「債務名義」として執行手続に入っていきます。
債務名義は、回をあらためて解説しますが、執行手続に不可欠な要件で、権利関係を国家が認めたものといえましょう。
ここで、一つ大事な言葉を確認。
「債権者」と「債務者」
民法と少し違い、民事執行法では
「債権者」=執行を求める者
「債務者」=執行を受ける者
なので注意していただきたいと思います。
では次回に続きます。 次回の講義はこちら→民事執行・保全法講義2~強制執行の種類

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また、司法試験合格後、司法修習に行くと、これを知らないと泣きを見ます。
そこで、私の備忘録もかねて、民事執行・民事保全法の講義を連載していきたいと思います。
まず、本日は民事執行法の導入です。
例)AさんはBさんに100万円を貸したが、Bさんはお金を返さなかったため、Aさんが提訴し、勝訴判決を得て確定した。
この時点で、国家権力が、AがBに100万円の債権を有することを認めたといいます。
しかし、民事訴訟で勝訴しても、国は取り立てをしてくれません。
そこで、AはBに、裁判で勝ったのだから支払ってくれというでしょう。
Bさんが素直に払ってくれれば、任意で支払ったといえ、話は丸くおさまります。
しかし、Bさんが払ってくれない場合、Aさんは、自力救済が禁じられているので、国家権力を使って取り立てすることになります。
具体的には、Bさんの預金口座を差し押さえたり、給与債権を差押えたり、Bさんの持っている土地や動産を差押えて競売したり、そのようなことで債権を回収することになります。
それが民事執行手続です。
このように、日本の裁判は、権利の確定手続(判決手続)と執行手続を分けています。
その執行手続について規律しているのが民事執行法です。
判決手続が先行しているので、執行手続は、比較的簡素なつくりになっています。
特徴としては、審理は任意的口頭弁論で行われますし(民執4条)、裁判形式は「決定」または「命令」です。
また、申立て方式は書面ですし、管轄も全て専属管轄です(民執19条)。
この講義を見ている方は、ぜひ条文を引きながら見ていってください。
本件で、Aさんは、確定した給付判決(民執22条1号)を「債務名義」として執行手続に入っていきます。
債務名義は、回をあらためて解説しますが、執行手続に不可欠な要件で、権利関係を国家が認めたものといえましょう。
ここで、一つ大事な言葉を確認。
「債権者」と「債務者」
民法と少し違い、民事執行法では
「債権者」=執行を求める者
「債務者」=執行を受ける者
なので注意していただきたいと思います。
では次回に続きます。 次回の講義はこちら→民事執行・保全法講義2~強制執行の種類

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