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2015年のニュースと司法試験(各論憲法編1)

2015年のニュースと司法試験(総論)で以前書いたとおり、憲法では

・再婚禁止期間違憲判決
・1票の格差
・資格試験受験停止と職業選択の自由
・名誉毀損と表現の自由
・つくば市住民投票

あたりが問題になるでしょう。今日はそれぞれ軽く解説を。

・再婚禁止期間違憲判決
 については、直近の論文式試験で、平等権が出たこともあり、短答式試験で気をつけておけばよいでしょう。
おそらく、今年の重判にも掲載されると思うので、そこでさっと読んでおけばいいと思います。
 また、100日以上禁止期間を設けることが、なぜ過剰な規制なのかは、自分で説明できるようにして下さい。
短答でそこのロジックが問われる可能性があります。
 わからない方は、私の一般の方向けのブログで恐縮ですが、再婚禁止期間6ヶ月は憲法違反
という記事をごらん下さい。

・1票の格差
 こちらは平等権のほかに選挙権も絡むので、再婚禁止期間よりは論文の出題率はあるでしょう(にしても、平等権が出たばかりなので低い)。
 百選の判例をさらっておくことと、意外と書きにくいので、論証を確認しておいて下さい。

 そもそも投票価値の平等を14条1項は要求しているか
      ↓
 どれくらいの格差があれば違憲となるか(期間の問題もここで論じる)
      ↓
 違憲となった場合当該選挙区の選挙だけか、全体が違憲となるか
      ↓
 違憲判決の効力(事情判決の法理)

の順番で論じていってください。

・資格試験受験停止と職業選択の自由
 これは論文の思考訓練に利用していただきたいと思いますので、また、別記事で書くこととします。

・名誉毀損と表現の自由
 隣国で起こりましたが、この古くて新しい問題は、短答論文ともに押さえておくべきです。
 判例は、たくさんあって嫌だと思いますが、ヒマを見て押さえましょう。

 論文では、
 名誉毀損表現は、無価値なので、表現の自由の保障を受けないという考えがある一方
 保護を受けるべき表現と保護を受けない表現の切り分けを公権力に許してしまうと、恣意的な規制がなされてしまうとして
 表現の自由の保護範囲に含めた上で、保護を受けるか受けないかを具体的に考えていく立場が有力です。
 また、名誉毀損表現は、いわゆる「内容規制」であることも忘れないでおいてください。

 そして、どのような判断基準を使うか(審査基準であれ比較考量であれ)、あらかじめ用意しておいてください。

・つくば市住民投票
 これはつくば市で、「総合運動公園設計計画」の是非が問われた住民投票です。
 法的拘束力はありません。

 ここでは、法的拘束力がある住民投票が憲法違反になるか。がまず論点になります。
 国政では、法的拘束力がある国民投票は違憲の疑いがあります。間接民主制に反するからです。
 しかし、町村総会すら認められている地方自治の世界においては、法的拘束力がある住民投票は、合憲説・違憲説の両方が考えられるでしょう。
 さらに、諮問的な住民投票をどれほど考慮しなければいけないかも、重要な問題です。
 諮問的である以上、全く無視しでも憲法上の問題は生じないという考えや、少なくとも(反対の結論に至ってもいいが)斟酌しなければならない立場など、いろいろな考え方があるでしょう。

 統治の論点は手薄になってしまいますが、短答では出ますし、論文でも出題される可能性は十分あります。
 予備試験では出題されていますし、統治の出題に一抹の不安を覚えている方もいらっしゃるでしょう。
 ぜひ、まだ余裕のある1月に、統治にも手を付けておいて下さい。

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2015年のニュースと司法試験(総論)

年末になると、今年のニュースを振り返ったりする番組があるものですが、
時事ネタというのが、司法試験の出題に影響を与えたりすることもあります。
例えば、フィルタリングやグーグルアース(のようなもの)が憲法で出題されたこともありました。

2015年のニュースで関係することころはこの辺りですかね。

~憲法~
・再婚禁止期間違憲判決
・1票の格差
・資格試験受験停止と職業選択の自由
・名誉毀損と表現の自由
・つくば市住民投票

~行政法~
・国立競技場白紙撤回
・辺野古埋め立て承認取消
・原発再稼働差し止め仮処分

~会社法~
・東芝不正会計問題
・郵政上場
・任天堂デーエヌエー資本提携

~労働法~
・改正労働者派遣法(将来)

まあ建造物侵入窃盗は、ニュースであげるまでもなく、良く出題されるので。

この中で、いくつかは、どのような出題が予想されるか、次回以降書いていきたいと思います。


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新年2日目ですね~通達に反する処分

みなさんこんにちは。
2016年も2日目です。

昨日はのんびりされた方、勉強された方、はたまた元旦からお仕事の方と様々いらっしゃったと思います。
私は、少し仕事をした後のんびりしていました。
また新年の目標を立てたりしていました。

さて、2日目は少し力を抜いて、行政法の短答問題でもやってみましょう。
え、試験に出ないって?
違います、行政法の短答を通して論文の論点を確認しようという試みです。
(去年は試験直前期にこのブログでよくやっておりました)。
平成18年、公法系第26問です。


〔第26問〕(配点:3)
通達の法的性質等に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,
誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№62]から[№65])

ア. 通達は上級機関が関係下級機関・職員に対してその職務権限の行使を指揮する等のために発
するものであるから,当該職務権限の行使を規律する法令の中に通達を発することができる旨
の規定がない場合には,上級機関はこれを発することはできない。[№62]

イ. 裁判所は,法令の解釈適用に際しては,通達に示された法令の解釈に拘束されない。[№63]

ウ. 事務処理の全国的な統一のために発せられた通達に反する措置を税務署長が行った場合,そ
の措置は,他の税務署長が通達に準拠して行った措置との関係において,平等原則違反を理由
に違法と判断される余地がある。[№64]

エ. 複数の行政機関が同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政
指導を行う場合に,これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を上級機関の通達に
より定めることは許される。[№65]




いかがでしょうか。簡単すぎましたかね。
アが×で、イ~エは全て〇となります。
アについて、上級行政機関は、指揮監督権に基づいて発することができます。

さて、論文との関係で重要なのは、ウ
通達に反する処分等をどう争うか。
通達は法規ではないので、通達に反する処分が、裁量権の逸脱濫用と構成していきます。
その理由づけとしては、通達が原則合理的だ(そして本件において例外事由がない)と論証していってもよいでしょうし、本問の選択肢のように、平等原則違反を主張してもよいでしょう。

裁量基準違反のときも同様に考えられますね。(まあ通達で裁量基準が定められるときもありますが)。

余裕がある方は、裁量基準の勉強もさらっとしておいてください。

少しの確認が、力につながります。

尚、行政法が苦手な方は、私の行政法の百選解説講義が役に立つと思います。
下の判例百選スピード攻略講座は、科目別に申し込めます。

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あけましておめでとうございます~メモの伝聞性

2016年もはじまりましたね。

元旦イベントをLECもやりたいところですが、おそらく何もないでしょう。

このブログも1年となりました。
読んでいただいている皆様、ありがとうございます。

元旦なので、司法試験の勉強どころではないと思いますが(意外と暇でブログ読んだりしているのかな)、
司法試験合格の景気づけとして、今日も一個だけ判例を読んでおきましょう。

どれでもいいけど、自分の苦手分野で。

選べない方は、刑事訴訟法の、謀議メモの証拠能力についての裁判例にしましょうか。

東京高判昭和58・1・27ですね。いやなところでしょう。
この謀議メモの証拠能力について論ぜよという問題が出たらどう書くのか

ぜひ考えてみて下さい。

ヒントをあげますと、要証事実が何か、もっというと、共謀を立証する要素のどこまでを証明しようとするかで
伝聞か非伝聞かが変わってきます


例えば、AとBの共謀を証明するために、メモが証拠調べ請求されました。
このメモに、犯行計画(AとBの役割分担など)が書いてあります。

そして、このメモは、Aが作成した(Aの筆跡)ということが別の証拠によって証明されているとしましょう。

このメモは、Aの犯意を立証するための証拠としては、非伝聞です。精神状態の供述だから。

しかし、AB間の共謀を立証するためには、Aの犯意の他に、AB間の意思の連絡が必要です。

このメモ単独でAB間の共謀を立証するためには、内容の真実性が問題となるため、伝聞となるでしょう

そこで、あくまでこのメモを、A単独の犯意を立証するために絞って証拠とし(非伝聞の扱いにし)、
AB間の意思連絡を、別の証拠で証明できれば、共謀が立証できるということになります


その意思連絡は、電話、メール、メモの回覧など様々な方法がありますよね。

今書いたことをヒントにもう一度判例を読んでみて下さい。

ちなみに伝聞証拠が苦手な方は、昨年収録のものですが

伝聞証拠コンプリートマスター

という講義もありますので、ご検討下さい。6時間で伝聞証拠の分野をカバーします。

そして、元旦なので、おおまかな学習計画も立ててしまいましょう。

ライバルが休んでいる今がチャンスです。

今年も頑張りましょう!


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プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

★その他のブログ等
司法試験と予備試験

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