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憲法の基本書について(2023年現在)

今回は、憲法基本書について書こうと思います。

司法試験憲法基本書で、よくおすすめされるのが、岩波書店から出てる、芦部信喜先生の「憲法」です。

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ただ、この本1冊だけで、初学者の方が(独学で)勉強するのは厳しいと思います。
この岩波の「憲法」は、放送大学のテキストをベースに仕上げたもので、短時間で憲法理論を概観するためのものなのですね。

そして、重要なロジックは、紙面の関係から省略されていたりします。
よく芦部憲法は「行間を読め」と言われるのは、ロジックを自分で補って考えなければならないからです。

勘違いしないでいただきたいのですが、私自身芦部先生の憲法理論はまだまだ色あせない部分があると思っています。

例えば、違憲審査基準が綺麗なグラデーションになっていたり、裁判所の裁量を縛るために、かっちりした違憲審査基準論を導入したり、髪型の自由については、憲法13条の法的性質について、人格的利益説に立ちながら、青少年の髪型の自由を人権として認めたり。

芦部先生の理論を学習すると、一種のワクワク感があります。
しかし、この岩波書店の「憲法」からは、このワクワク感を感じるのは難しいでしょう。
(学習経験者が読むと、内容がすっと入ってきますが、初学者にとっては難しい)。

人格的利益説に立ちながら青少年の髪型の自由を認める(青少年は他に表現手段が乏しいため)という説は、この「憲法」には載っておりません。
芦部先生の理論を知るためには、「憲法学」という専門書か論文を読まなければなりません。

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ただし、この本は、数冊に分かれていますし、経済的自由の途中で、芦部先生が逝去されたので、未完です。
もちろん、古い点もありますし、司法試験受験の勉強として読むのは非効率です。
(趣味で読むにはよいと思います)。

じゃあどの基本書がよいかって?
実は、憲法に関しては、基本書で理論をすべてマスターするというよりは、

基本書(又は予備校本)+判例集+(人権論の)演習書

でマスターするのがよいと思っております。

というのも、予備試験司法試験では、人権論を具体的事例に合せて使っていくわけですが、基本書を読んだからその知識が身に着くというのではなく、むしろ演習書を読んで、事案のさばき方を押さえる、その中で、理論を新化させていくというのが適切だからです。

ですので、基本書に関しては、芦部先生の「憲法」でも他のテキストでも、予備校本でもよいので、知識のインプット用に1冊は用意しておく。その他判例集と演習書を使うというスタイルがよいでしょう。

判例集は、何でもいいですが、迷ったら判例百選が無難でしょう。

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演習書は、木村草太先生の「憲法の急所」か、宍戸常寿先生の「憲法解釈論の応用と展開」が示唆に富んでいます。

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木村先生の本については、特に平等権や社会権の書き方がわかりやすいです。宍戸先生の本も、公務員の人権の位置づけなど、大変勉強になります。
ただ、「三段階審査」という考え方を使っている場合もありますので、芦部先生流の審査基準論を使う場合は、少しアレンジが必要です。

あと、基本書は好みで、

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いわゆる新四人組ですね。

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リーガルクエストシリーズとか、

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私が大学時代お世話になった大石先生の本。こちらは統治に関して細かい論点を身に着けるのには役立ちます。人権は、今の司法試験の傾向から言うと、他の先生の本がよいでしょう。

あと、たくさんの本がありますが、ご自身が気に入った本を基本書として使うのが一番だと思います。
法学部の学生の方は、教科書指定された本でももちろんかまいません(あまりに薄すぎるとか、入門書は除く)。

このブログが、基本書選びの一助になれば幸いです。


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基本書書評シリーズ1~古い基本書と新しい基本書

司法試験でいう「基本書」とは学者の先生の書かれた、体系的かつ網羅的な教科書のことを言います。
また、大前提として、司法試験で出題されるような論点はだいたい書いているものが対象です。

学者の先生の書かれる基本書は、一部の入門書を除き、だいたい上記の条件を満たしています。

司法試験予備試験あるいはロー入試(既習)で使う、インプットツールとしては基本書か、予備校本がよくあげられます。この2つの論争については昔からあるのですが、割愛します。
僕自身ナンセンスだと思うんですよね。確かに基本書の方が、(学説の描写などが)正確、予備校本の方が、すっきりまとまっている傾向があるとか言われてますが、この2つは互いの意識により接近しており、はっきり言って「書いた人による」状態になっています。

そこで、今回は基本書にフォーカスを当てましょう。

基本書を読むにしても、やはりメインは、最近出版された定評のある基本書の方がよいと思います。
例えばリーガルクエストシリーズとか、基本○○とか。
僕はリーガルクエスト会社法が好きですね。ほどよく実務的な観点も入っていて。

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法律は、絶えず変わっています。判例もどんどん新しいのが出てきます。
古い(かつ改訂されていない)基本書にはそこは載っていません。
そこで、最近の定評ある基本書を選ぶことになります。

一方で、古い基本書にも良い点はあります。
あくまで傾向ですが、古い基本書の方が、体系的に洗練されており(但しそれが試験に有効だとは限らない)、ケースが少なく読みやすかったりします。また、今より触れられている論点が少ないせいか、ある論点にはとっても詳しかったりします。

我妻先生のダットサン民法は、コンパクトな教科書で、論点が詳しいというわけではありませんが、今でも出版されていたりします。

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私が司法試験を勉強した時代の基本書は、今でも改訂されているものもたくさんあります。
民法で言えば、潮見先生とか佐久間先生とか。
また、現在では少し古くなってしまったなというものもあります。
もちろん、司法試験講師になってから読んだものもたくさんあります。

まとめると
新しい基本書...ケースが多い、判例の引用が豊富、みやすい(レイアウト的に)、問題点に対応している
古い基本書...ケースが少ない、判例の引用はそこまで豊富ではない(そもそも新しい時代の方が判例の絶対量が多い)、学説の紹介がやや豊富、体系的、ものによっては見にくい。

こんな傾向があると思います。

次回から、具体的に書評も書いていこうと思います。


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プロフィール

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Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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