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時事問題から考える行政法の問題(解答例)

(これは司法試験、予備試験受験生向けのブログです)

前々回のブログで、時事問題から考える行政法の問題として、出題をしました。
この記事は、当該問題の解答例になります。
あくまで、解答「例」です。一つの考え方にすぎませんが、ぜひ参考にしてください。

設問1
1、論拠
 処分(行政事件訴訟法(以下「行訴」とする)3条2項)とは、公権力の主体たる国または公共団体の行為のうち、その行為によって、国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(注1)。
 ここで、本件閉鎖指示は、法律に基づいて一方的になす国の行為である。とすれば、法律上、当該行為によって、「国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定」するか否かが問題となる。
 この点、本件指示は、「Aウイルス特別措置法」に基づく非常事態宣言が前提となっている。
 そして、非常事態宣言の要件の中に、「Aウイルスが蔓延」していることが入っているので、本件閉鎖指示は、「Aウイルスが蔓延」している中、国民の生命・身体を守るために出されるものであり、国民に対し指示が公表されることに鑑みると、「当該飲食店に行くべきではない」「当該飲食店は国のために閉鎖されるべきである」という強いメッセージを伝えるものである。そして、このようなメッセージを受け取った国民の多数が、たとえ飲食店が閉鎖されなくとも、当該飲食店を少なくとも閉鎖指示期間の間は利用しなくなることを考えると、当該指示は、実質的にみて営業権を侵害するものと言える(注2)。
 とすれば、実質的に見て、本件指示は、法律上指示を受けた国民の営業権を侵害するものといえ、処分といえる。
2、訴訟選択
 閉鎖指示処分の差止訴訟(行訴3条7項)を提起し、あわせて仮の差止の申立(行訴37条の5第2項)をすべきである。
設問2
1、論拠
 当該閉鎖指示は、直接強制もできないし、罰則もないので間接強制もない。指示を受けたことが公表されるとはいえ、公表は事実上の処分である。とすれば、閉鎖指示を受けたことによって受ける国民の営業権侵害は、あくまで「事実上」のものであって「法律上」のものではない。よって、当該閉鎖指示は処分にあたらない。
2、訴訟選択
 閉鎖指示を受ける地位にないことを確認する実質的当事者訴訟(行訴4条後)を提起すべきである。また、そのような地位にあることを保全するために、仮の地位を定める仮処分(民事保全法23条2項)の申立てをすべきである。
 なお、当該実質的当事者訴訟は、そもそも処分でも公権力の行使にあたる行為(行訴44条参照)でもないし、行政庁の処分を先決関係に持つものでもないので、行訴44条の適用はない。
設問3
 「行政手続法の不利益処分の規定は適用除外とする」との規定がある場合、当該規定は処分性を認める方向に動く要素となる。すなわち、不利益処分の規定を適用除外とする規定をわざわざ設けるということは、本件閉鎖指示が「不利益処分」であることを、法律が認めていることになるからである。
 併せて、「行政不服審査法の規定は適用しない」との規定がある場合も、当該規定は処分性を認める方向に動く要素となる。なぜなら、行政不服審査の対象は、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であるが、法が、本件閉鎖指示を「処分」として認めているともいえるし、一方で、本質的には「処分」ではなくとも、法が、行政争訟で争わせようと考えたとも言えるからである。

注1)処分の定義は必ず書けるようにしておくこと
注2)憲法と同じ論拠だが、実質的に見て法律上営業権を侵害するものになると言えれば、処分性が認められる方向に動く(もちろんこれだけでは決まらないが)

ぜひこれを一つの参考にして、行政法の学習を進めていって下さい。

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Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

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