FC2ブログ

民事執行・保全法講義4~執行証書に関わる論点

民事執行・保全講義の4回目です。

前回の講義はこちら→民事執行・保全講義3~債務名義

今回は、執行証書に関わる論点です。若干細かいので、司法試験の方は、最後の④救済手続以外はスルーしてもよいです。
予備試験の方は、ざっと確認しておきましょう。

①代理関係
XがYに100万円を貸したとします。そして、これを執行証書にしたい。そこで、Xの代理人AとYが公証役場に行き、AがXの代理人と名乗らずに直接Xと名乗り(署名代理)、AとBを当事者とする執行証書が作成された。有効か。
→無効(判例)。公証人法32条、39条等に違反するから。

②額の一定性
 前回の講義で学んだとおり、執行証書には「額の一定性」が必要である(民執22⑤)

・執行証書上の表示と請求権の実体法的内容が違う
→債務名義としては有効であるが、請求異議の訴えを提起して実体法上の請求権どおりにできる。

・継続的取引から生じる債務で、時間の経過とともに債務額が変動するものについて執行証書を作成した場合は、額の上限を決めている場合でも金額の一定性を欠く(学説)

・執行証書の作成にあたり、遅延損害金を付加しても(どんどん遅延損害金が膨らんでいくことになる)、計算上は明確であるので、金額の一定性は認められる。

・分割弁済が予定されている債務につき執行証書を作成しても(額がどんどん減っていくことになるが)、額の一定性は認められる。
→弁済部分の執行があった場合、その部分について債務者は請求異議の訴えを提起することができる。

・保証人の事前求償権について、額は元本と利息、遅延損害金となるので、一定性は認められる。

・保証人の事後求償権についてあらかじめ作成した執行証書の有効性について。この点は争いがあるが(弁済額によって求償額が変わってしまうので)、求償の最大限が明示されていれば、執行文付与の際に債務者に弁済額を証明させれば額が明確になるとして、有効と解する(学説)。

③執行受諾の意思表示の有効性
・錯誤の適用(判例)、詐欺・強迫の適用(学説)あり
・表見代理規定の適用なし(判例)、訴訟行為だから取引上の表見法理は適用しない。

④救済手続
 執行証書が要件を満たしていない場合の救済手続は、執行文付与に対する異議(民執32条)と請求異議の訴え(民執35条1項)の2種類。
 記録によって容易に判断できる場合は執行文付与に対する異議、口頭弁論による審理が必要な場合は請求異議の訴えによる。

5回目の講義はこちら→民事執行・保全法講義5~請求異議訴訟総論【司法試験も必須】


司法試験 ブログランキングへ
にほんブログ村 資格ブログ 司法試験へ
にほんブログ村


スポンサーサイト



プロフィール

takeyama

Author:takeyama
知識じゃなくて、リーガルマインドと伝える力
を養成することを目標とする、
LEC東京リーガルマインド司法試験講師武山茂樹のブログです。

近年、司法試験業界でも、まやかしのような勉強法が流行しています。
しかし、起案とその吟味の繰り返しでしか実力はつきません。
私は、起案教育こそが司法試験に役立つとの信念のもと、実務でも通用する正統派の講義を目指します。

新橋虎ノ門法律事務所の共同代表として、弁護士もやっております。
司法試験受験生に役立つ情報を提供していきます。

★その他のブログ等
司法試験と予備試験

一般の方向けのブログはこちら
世界一わかりやすい法律の授業を目指すブログ

不動産の法務と税務

起業の法務と税務

民法の初学者向けのブログはこちら
民法を得意にする!

一般の方向けのブログはこちら
世界一わかりやすい法律の授業を目指すブログ

Twitter
→https://twitter.com/takeyam33102813

LECの無料公開講義一覧
無料公開講座・実務家講演会のご案内(司法試験受験生向け、中上級)
資格説明会・公開講座 【関東】 (予備・法科大学院受験生向け)

you tube無料公開講座

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR